こういう五十年代の間に、水生昆虫はどこかに行ってしまいました。

こういう五十クラスで、私の育った城下町の形はがらりと変わりました。水田の内側の一軒家だったうちの知人は住まいが立ち並びました。その、今は薄い田んぼでわたくしはやけに驚いたことがあります。水を張った田んぼの水面ではなく、水のバックに歩きを背後から付けて働く、忍者のような水生昆虫を見つけたのです。わたくしは虫が好物でした。たくさんの虫を捕まえて来たつもりでしたが、こうした昆虫に逢うとは思いませんでした。アメンボウより僅か大きくな虫だったと記憶している。直ぐに図鑑を広げました。なかなか見つかりませんでしたが、初めて見つけました。マツモムシという昆虫でした。不思議な虫が掛かるものだと感心しました。水生昆虫はこのように身近なところに棲んでいました。ミズカマキリもアメンボウモゲンゴロウもタガメも。でも今は奴らの棲むロケーションが依然として居残るのだろうかと思います。それと共々、私たちの風土の変化はこれで大丈夫なのだろうかという念願になるのです。昆虫が去ってしまった土地で、パーソンは生きられるのでしょうか。大げさかもしれませんがそういった念願になるのです。